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プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する最高裁判決について
平成27年6月5日、プロダクト・バイ・プロセス・クレームについて、最高裁は、技術的範囲の確定および明確性要件の適合性について審理を尽くさせるため、以下の事件について知財高裁に差し戻しました。

■最高裁判所 平成27年6月5日判決
平成24年(受)第1204号(原審:知財高裁平成24年1月27日大合議判決(平成22年(ネ)第10043号))
平成24年(受)第2658号(原審:知財高裁平成24年8月9日判決(平成23年(ネ)第10057号))
 詳細については、上記事件番号をクリックして下さい。

■平成24年(受)第1204号の判決理由(3〜6頁)で、下線が引いてある部分のみを下記に引用します。

「したがって,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても,その特許発明の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定されるものと解するのが相当である。」

「以上によれば,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当である。」

■上記最高裁判決は、今後の実務にものすごく影響があると考えられます。
特に、上記2つ目の引用部分によれば、物を構造又は特性により特定できるのに、製法で特定して物の発明をクレームしたら、特許法36条6項2号違反で拒絶・無効にすることになるようです。

無効審判請求も多数されるかもしれません。訂正要件(※)を甘くしてくれないと、知財高裁大合議判決で言うところの いわゆる「不真正な」プロダクト・バイ・プロセス・クレーム特許権者には、記載不備で特許無効という酷な結果になりかねません。
(※) 特許法126条6項
「請求項のカテゴリーの変更は、実質上特許請求の範囲を変更するものであるとして認めていない。」

これからは、安易にプロダクト・バイ・プロセス・クレームは使えなくなりそうです。

■特許庁の今後の対応については、
「プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する当面の審査・審判の取扱い等について」をご覧ください。

■上記「〜当面の審査・審判の取扱い等について」の1.(3)Fには、「物の発明においてその物の製造方法が記載されている場合に、単に、その物の製造方法の発明にする補正は、通常、明りょうでない記載の釈明(特許法第17 条の2 第5項第4 号)に該当する補正であると認めることとします。」と記載されています。
これによれば、同様に、同訂正について、特許法126条1項3号及び134条の2第1項3号(明瞭でない記載の釈明)に該当する訂正であると認めることとする、と考えられます。
しかし、「物」を「製造方法」にカテゴリーを変更する訂正は、特許法126条6項により、実質上特許請求の範囲を変更するものに該当するとされているところ、
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/sinpan_binran/54-10.pdf
訂正が認められない可能性が高いです。
この点、補正の事例ですが、『発明のカテゴリーを「物の発明」から「方法の発明」に変更することは,「物の発明」として請求していた権利とは異なる効果を有する別の権利を請求することにほかならない。したがって,本件補正は,特許請求の範囲を変更するものである、』と判断した裁判例(知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)第10494号)があることなどからも裏付けられます。
また、この事件では、「物の発明」から「方法の発明」に変更する補正は、特許法17条の2第4項(現5項)各号のいずれにも該当しないと判断しているところ、上記特許庁の取扱いを知財高裁が認めるのかも気になるところです。
しかし、上記最高裁判決の、例えば13頁には、裁判官の一人の意見として、『もっとも,この事態は,特許出願の審査が緩くPBPクレームを認めてきたことに起因するものであり,このことは出願人のみの責任ともいえないところであって,これを避けるためには,特許無効審判における訂正の請求(特許法134条の2)や訂正審判の請求(同法126条)等を活用することも考えられ,それらが現実にどのように処理されるかは今後に残された問題であろう。』と記載されており、訂正が認められる可能性があることを示唆するものとして考えるならば、特許権者にとって救いとなるでしょう。

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